全日本リレー愛知県選手団

監督からのお願い:安易なキャンセルはご遠慮を


愛知県選手団では「選手権クラスの選手として内定した方は 原則キャンセルできない」というルールを設けています。 以下ではルールそのものの解説というよりも、 このようなルールにしている事情をご説明します。 皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。

メンバー変更に対する制約が日本一厳しい全日本リレー

オリエンテーリングのリレー大会では通常、 最終的なオーダー表の提出までは自由にメンバーを入れ替えることができますね。 申込時に名前を書いたメンバーが行けなくなったら別の選手に入れ替えれば良く、 どうしても3人揃わなければ誰かが2本目を走れば済みます。 もちろん2本目出走をすれば参考記録にはなりますが、 2本目だから走らせてもらえない、なんてことはありません。 これが普通のリレー大会です。

ところが全日本リレーではこういう「普通の大会」の感覚が全く通用しないのです。

まず、申込時に別々の選手が3人きっちり揃っていないと そもそも申し込むことができません。 例えば1走:稲森剛、2走:種市雅也、3走:稲森剛、みたいなエントリーは できないのです。 申込時に3人揃っていなければその時点で参加を諦めるしかありません。

次に、怪我などで欠場者が発生した場合のメンバーの入れ替えですが、 申込時に同じクラスの別チーム(例えばMJ1とMJ2など)または補欠として登録した選手 でないと入れ替えることができません。

それでは補欠がいない場合にどうなるかというと、2走までで終わりです。 誰かが参考記録として2本目で3走を走るということはできません。

何とも厳しい(厳しすぎる!)ルールですね…。

人数を3の倍数に揃える選手選考

ここでちょっと計算してみましょう。 全日本リレーでは選手権クラスが10クラスあります。 その10クラス全てで偶然にも参加希望者が3の倍数になる確率は どれくらいでしょうか?

簡単な算数の問題ですね。 1つのクラスにつき、参加希望者が3の倍数になる確率は1/3。 よって偶然にも10個のクラス全てで参加希望者が3の倍数になる確率は 1/310=0.000016935となります。 パーセントで書くと0.002%以下です。 つまり、ほぼ確実にどこかのクラスで端数が出る計算になります。

ところが上に書いたように全日本リレーでは 3人きっちり揃わないと申し込めないわけですから、 申込期日までに人数を3の倍数に揃えるための調整をしなければなりません。

この調整のために行っているのが選手選考です。 締切日を決めて選手を募集し、応募者が3の倍数にならなかったクラスでは ランキングなどを用いて選考を行い、人数を3の倍数に揃えているわけです。

選手の出入りのシャットアウトが必要—2015年の教訓から

ところで、ランキングと選手選考の制度を整えたのは2016年です。 私が監督に就任した初年度(2015年)はこのような制度が無く、 したがって選手を選考で「落とす」ことができず、 希望者が3の倍数でないクラスでは端数人数を埋め合わせるために 追加の参加者を探すということを行いました。

これが想像以上に難航しました。 2015年に何が起きたか、ご紹介しましょう。

もともと参加希望を出されていない方というのは 基本的に全日本リレーを走る気の無い方です。 そういう方を一生懸命に説得しようとしても、 せいぜい「考えておく」と言われたきり、 しばらく音沙汰も無いまま待たされることになります。 その間、別の選手に誘いを出すわけにもいかず、ただ待つしかありません。

それでも当時の私は楽観的に考えていました。 待っていれば誘った人の何人かは良い返事をくれるだろう、 それを丹念に繰り返していけば少しずつ3の倍数に近づいていくに違いない、と。

考えが甘かったです。 返事を待っている間、私が選手決定のアナウンスを出せないのを 事情を知らない他選手からは まだメンバーが決まっていないのだから追加応募できるはず、キャンセルもできるはず、 というように映ってしまったようです。 結果、せっかく人数が3の倍数になっていた別のクラスで 「4人目」の参加希望者が現れてしまったり、 抜ける選手が出たりしてしまいました。 その穴を埋めるために追加の3人目探しや 「5人目探し」「6人目探し」などをしなければならなくなりました。 こういうことが何度となく繰り返され、 調整はエンドレスに近い展開になってしまいました。

2015年の教訓は2つありました。
(1) 「3人目探し」は禁じ手
(2) どこかのタイミングで選手の出入りをシャットアウトしないと 個別調整をいくら頑張っても人数は3の倍数に近づいて行かない
ということでした。 部屋の窓を開けたままエアコンを入れても無意味なのと同じですね。

この教訓が現在の制度につながっています。

まず(1)の教訓を踏まえて、人数が3の倍数になっていないクラスでは 追加選手を探すのではなく、選考を行って端数分の選手の方に参加を諦めていただく という方針に大きく転換しました。 そのためにランキング制度などを作りました。

問題は(2)です。 あるタイミングで選手の出入りをシャットアウトするにはどうすれば良いでしょう。 入ってくる方を止めるのは簡単です。締切日を告示すれば良いだけです。 しかし抜ける方も止めないと県内締切から大会申込そして大会当日まで 3の倍数を維持しておくことができません。 そこで、募集締切後に選手が抜けるのを止める方策を検討した結果、 選手の皆さんには選考で選ばれたら後からキャンセルしないということを 応募時に誓約していただくのが良いだろうと判断しました。 それが現在のルールになっているというわけです。

皆様にお願いしたいこと

上記の通り、全日本リレーでは人数がきっかり3の倍数になっていないと申込が出来ません。 そして、人数を3の倍数に揃えるために行っているのが選手選考です。 選考によってせっかく人数を3の倍数に揃えたのに、 後から「やっぱりやめる」と言う方が出てくると非常に困ります。

このような事情から、選考を経て選手権クラス選手として選ばれた方には 滅多なことで参加のキャンセルをせず 走っていただくようにお願いしております。

もちろんやむを得ないキャンセルというのもあります。 例えば怪我とか、当日仕事が入ったといったケースはやむを得ませんね。 ほかにも冠婚葬祭のように、社会通念上 いかなる先約よりも当然に優先されるべき事情があるなら 仕方がありません。

では、どのような理由でのキャンセルをやめていただきたいかというと、例えば
など、単に気持ちの問題だけで 愛知県チームで走ろうと思えば走ることは物理的に可能なのに 取りやめるという行為です。

まあ上記のような選手の皆さんの気持ちも理解できないわけではありませんが、 これを認めてしまうと代償が大きすぎるため、 選手権クラス選手内定後のキャンセルは病気や仕事などで 大会への参加が物理的に不可能になった場合に限るという基準を 設けさせていただいているということです。

以上、あくまで募集が終わって選手権クラスに選ばれた場合の話です。 募集締切前であればWEBシステムから自由にキャンセルでき、 理由の説明も一切不要です。 また、選考で落ちて一般クラスとなった場合のキャンセルは基本的に「可」です。

キャンセルをすると残された選手はどうなる?

再びルールの話から離れて、キャンセルすると残された選手がどうなるか という話を書きます。

そのクラスに補欠選手がいる場合は 単にその選手に空き枠に入っていただくだけで済みます。

厄介なのは補欠選手がいない場合です。 このときの対応は申込後か申込前かで異なります。

申込前の場合、いずれか1つのチームが2人になってしまいます。 何度も書いているように3人揃わないと申し込めないのですから、 その2人には全日本リレーへの参加を諦めていただくしかないわけですね。 しかしその2人というのは既に選考を通って全日本リレーの選手権クラスを走れることが 内定していた選手です。 つまり「走れるはずだったのに走れなくなる」わけで、さぞかしショックでしょうね。

しかも、影響はそれだけにとどまりません。 その2人は選手権クラスを「走れるはず」だったわけですから、 少しでも安く大会に行けるように 飛行機の早割チケットなどを既に購入しているかもしれません。 そのような早割チケットの多くはキャンセル・返金ができないものです。 つまり、残された2人の選手は走れるはずだったリレーを走れなくなるだけでなく、 金銭的な損害まで被ることになるかもしれないのです。

愛知県選手団で本当にやむを得ない理由以外でのキャンセルを認めていないのは 残された選手にこのような迷惑がかかることを考慮してのことなのです。 キャンセルの理由が怪我とか仕事とかならまだしも、 よその県で第1チームで出たいからというような理由でのキャンセルは ルール以前の問題として残される選手に対して あまりにも無配慮な行為と言えるでしょう。

キャンセルのタイミングが申込後の場合はだいぶ状況はマシで、 残された2人の選手は大会に出場して選手権クラスのコースを走ることはできます。 しかし3走がいないので2走までで終わりです。

まとめ

まとめると
というわけです。 不自由で申し訳ありませんが、全日本リレーの大変厳しいルールの中で 全国最大規模の大選手団を滞りなく運営するにはどうしても必要なことですので 皆様のご理解をお願いします。


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