その道、当てにして大丈夫? 道の種類を理解しよう


アナリシス添削を行う中で 「不明瞭な小径」を当てにしたために大きなミスにつながった事例を いくつか見かけました。
一言で道と言っても車が通る舗装道もあれば 辿るのも難しい踏み跡程度の道もあります。
それらの違いは地図記号で判断できます。
道の種類を頭に入れて、簡単に見つかるはずもない道を探し回るミスを減らしましょう。



道は全部で8種類

皆さんがオリエンテーリングで使う地図記号は 日本オリエンテーリング協会(JOA)の 日本オリエンテーリング地図図式(JSOM2007)日本スプリント・オリエンテーリング地図図式(JSSOM2007) の中で決められています。 どちらの記号が使われるかはテレインによって異なり、 大会プログラムに書かれます。 大まかに言えば山の中のオリエンテーリングではJSOM2007が、 公園のオリエンテーリングではJSSOM2007が使われると思ってください。

今回は大きなミスが起きやすい山の中のオリエンテーリングを念頭に置いて JSOM2007に沿って解説します。 JSOM2007では道は何と8種類もあります。 明瞭な方から順に「自動車道路」「主要道路」「細い主要道路」「道路」 「道」「小道」「小径」「不明瞭な小径」と名前が付けられています。

名前は覚えなくても良いですが、記号は覚えて道がどれくらい分かりやすいかを 地図から判断できるようになりましょう。





「道」は信じて良いが「小径」「不明瞭な小径」は要注意

JSOM2007には8種類の道の定義が書かれています。 それらの要約を下の表にまとめました。 分かり易さ等は私の私見です。

記号 名前 定義(JSOM2007からの要約) イメージ(前田私見) 分かり易さ(前田私見) 補足(前田私見)
自動車道路 2車線以上の道路 舗装道 このレベルの道はどれも十分に明瞭なので 特に意識して区別しなくてもナビゲーションに支障は無い
主要道路 道幅5m以上の道路
細い主要道路 道幅3〜5mの道路
道路 天候にかかわらず自動車が通行できるよう整備された道路(道幅3m未満)
路面状態が悪く、車両がゆっくりと走行できる道(道幅3m未満) 舗装されていない林道 見失ったり見落としたりすることはまずあり得ないので 信じ切ってナビゲーションして良い
小道 明瞭で幅のある小道や明瞭な古い道、遊歩道 遊歩道。東山公園一万歩コースくらいのものをイメージすれば良い。 これも見失ったり見落としたりする可能性は低い
小径 競技速度でたどる事ができる小径や一時的な木材搬出のあと 細い遊歩道や獣道など。 オリエンティア以外の人は普通は入らない細い山道も含まれる。 辿る分には見失うリスクはそれほど高くないが、 横切るときは見落とすリスクがあるので要注意
不明瞭な小径 不明瞭な小径あるいは不明瞭な木材搬出のあと オリエンティア以外の人は普通は入らない細い山道や獣道や踏み跡など。 ところどころ途切れたり、倒木や笹などに隠れて見えなくなったりすることも。 × 見つけるのも辿るのも簡単ではない

私の場合、「道」以上ならコンパスと道だけしか見ずに思い切りスピードを上げますが、 「小道」になるとやや慎重に、 「小径」は地形など別の情報を可能な限り併用して慎重に進みます。 「不明瞭な小径」の場合には地形を併用するというよりも 地形の方がメインで道を補助的に使うくらいの感覚になります。

上の表に書いた見つけ易さの目安は道だけを頼りにした場合の話です。 地形などを併用すれば見つけやすくなります。 例えば不明瞭な小径を林の中でめくらめっぽう探してもまず見つかりませんが、 地形などから「この辺りにあるはずだ」と思って探せば割と簡単に見つかったりします。 まあ穴と同じですね。



サンプル写真



道幅5m弱ですので「細い主要道路」に当たります。


道幅3m未満で舗装された道路ですので「道路」に当たります。


車が通った跡がありますね。未舗装なので「道」に当たります。


これも車が通れるくらいの幅があるので「道」です。


かなり路面が悪く車が通るには難儀しそうです。 でも通った跡はあるのでぎりぎり「道」でしょうか。 これくらいまではナビゲーションで見失ったり見落としたりすることは まず無さそうです。


まさに遊歩道って感じですね。よって「小道」でしょうか。


「小道」にするか「小径」にするか、 調査者によって判断が分かれるレベルかなぁと思います。


これくらいが「小径」です。 辿る分には問題ありませんが、 林の中から「小径に当たるまで進む」なんてプランで進むと 通りすぎてしまうかもしれません。


「不明瞭な小径」はこんな感じです。 辛うじて辿れる程度、見失うと林と一体化してしまって分かりません。


これも「不明瞭な小径」の候補。調査者によっては描かないかもしれません。



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